《5分でわかる》イースターって何?
今年もイースター(復活祭)まで10日を切りました。コロナ禍となった昨年からは、教会で集まって記念の食事をとったり、たまご探しをしたり…といったいつもの過ごし方は難しくなっていますが、今年もそれぞれの置かれた場で、イエスの受難と復活に思いを馳せるひとときをすごしたいもの。改めて「イースターとはなんぞや?」初歩の初歩から見つめ直してみましょう!
イースターって何日?
クリスマスは毎年12月25日ですが、イースターは年によって日が違います。ちなみに今年は4月4日。2020年は4月12日だったし、2019年は4月21日でした。さらにはこの先数年間のイースターの日付は、2022年から順に4月17日、4月9日、3月31日、25年は4月20日です。
なぜ年によって移動するのかというと、その年の春分の日のあとの満月の日から最初の日曜日と決められているからです。春分の日もそのあとの満月の日も年によって異なるため、イースターの日付も移動するというわけです。しかし、先ほど挙げた日付はカトリック、聖公会、ルーテル教会など、そしてプロテスタントも含めた西方教会の暦でのこと。ギリシャ正教など東方教会の暦では日付が異なります。しかし、何日かという日付にではなく、イエス・キリストの復活を記念することにのみイースターの意味があります。
イースターって何語?
イースター(Easter)は英語です。日本語だと復活祭。ドイツ語はオースタン(Ostern)、フランス語はパック(Pâques)、イタリア語はパスクア(Pasqua)、ロシア語はパスハ(Πacxa)。ちなみに英語、ドイツ語など以外の多くのヨーロッパ諸言語の「復活祭」を指すことばは、ギリシャ語のパスカ(Πάσχα)に由来。さらにたどればアラム語のパスハ(pascha)で、これは旧約聖書に記される「過越の祭り」を表すヘブル語のペサハ(Pesach)からきています。キリストの復活を祝う復活祭は、旧約の時代の「過越の祭り」のひな型であることがわかります。
クロアチアのイースター・エッグ(Wikimedia Commons)
イースターは最高の祝日?
イエス・キリストの生誕を記念するクリスマスは、世界中に知られ、クリスチャンにとってはいちばんの祝日ですが、それと同じく、あるいはそれ以上に喜びの記念日がイースターです。それはずばり、イエス・キリストが十字架につけられて死に、それで終わらず、復活されたということを決して忘れないよう記念する日だからです。
人間にとり、いちばんの恐怖は死です。誰一人もれることなくすべての人間は死ぬからです。最初の人アダムが犯した罪ゆえに全人類に罪が入り、その結果死がもたらされたが、神は「だれが死ぬのも喜ばない」と言われました。「だから立ち返って、生きよ」(エゼキエル18・32)と。そのための贖いがイエスの十字架の死による代価。しかしイエスは死に打ち勝って復活しました。以前は死によって支配されていた者が、イエスの復活により、死から開放された者へと変えられ、地上の死はすなわち天のみくにへの凱旋に変わる、この聖書の約束を信じる者にとり、イエス・キリストの復活こそ最高の希望。だからイースターは何よりの喜びなのです。
日本で最初のイースターは?
クリスマスは昔から日本でもよく知られていますが、イースターはいつ頃から? 卵やうさぎの形をしたチョコレートがショップに並ぶようになったのは、つい最近のような気もします。子どもたちが、ゆで卵に絵を描いたり、カラフルにペインティングしたり、さらには隠した卵を探し出すエッグハンティングなどもひと昔前の日本では、あまり見かけなかったように思えます。このような日本のイースター・イベントは最近のものであっても、イースターの本当の意味を受け止め、イエスの復活を喜んだ日本の信徒たちが、なんと戦国時代にいたのです。
フランシスコ・ザビエルに遅れること14年ほど後に来日し、戦国時代の九州や五畿内(大和、山城、和泉、河内、摂津)での布教の第一線で働いたイエズス会修道士ルイス・フロイス。彼が記した『日本史』によると、長崎の平戸の北東にある度島で1564年に復活祭が行われたとあります。島民全員がキリシタンであった度島の人々は、ひどく貧しかったが、四旬節(受難週を含めたイエスの復活までの46日間)の全期間、ミサや説教に与ることを欠かさず、受難週には修道士のキリスト受難の説教を信心と涙をもって聞き、キリストにならって苦行を受けたとあります。そして「復活祭には、男も女も一番上等な着物をまとい、頭には薔薇やその他の花の環をいただいて集まり、行列に加わって行ってミサに与ろうと待ち受けた」と。のちの禁教令以降、度島でのキリシタン迫害は激しく、キリストの復活に希望を捨てなかった多くの殉教者を天に送りました。
ドイツの復活祭の卵、オスターブロート(復活祭のパン)、オスターハーゼ(ウサギ型のパン)(Wikimedia Commons)
イースターに何を食べる?
伝統的に四旬節にキリストの受難を覚えて肉類、乳製品、卵を禁食し、イースターに解禁される国々では、イースターの食卓には動物性食品をたっぷり使ったごちそうが並びます。特に卵や乳製品を使った菓子やパンが作られます。ドイツのイースターのパンといえばオスターフラーデン。レーズンやドライフルーツ、ナッツなどが入った直径18センチほどのパン菓子。生地をうさぎの形に成形して焼いたオスターハーゼも定番。イタリアでは地方色豊かなイースターメニューがあり、鳩形の菓子パンや子羊をかたどったマジパンなどが。スウェーデンではニシンの酢漬け、アンチョビをゆで卵と一緒に出したり、子羊の脚や鮭なども。アイスランドでは、羊肉の燻製に大麦や米のプディングがイースターの食卓に並びます。
〈「百万人の福音」2020年4月号〉
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