《連載》土と聖書で〝生き直し〟〔第8回〕

信仰生活

きさき・ともゆき
1971年生まれ。2005年、依存症者の更生と社会復帰を支援する一般社団法人「ティーンチャレンジ・ジャパン」を設立。2013年からは岡山に拠点を移し、引きこもりや依存症の若者を農業を通して社会復帰させるプログラムの構築に取り組む。

第8回 成長に必要な器と「るつぼ」

ティーンチャレンジ・ジャパン ディレクター 木崎智之

5月17日(金)

 唐辛子の生長が遅い。3月に植えたのにまだ3センチ。ホームセンターでは同じ品種が20センチで売られている。原因を調べると、植えたトレイが小さくて生長が止まったらしい。途中で大きいポットに植え替える必要があったのだ。やっぱり器が小さくてはダメだ!

 良い地に芽が出ても環境に阻まれて生長が止まるのは、クリスチャンにも通ずるのではないか? せっかく救われて教会に根ざしても、伸びる場がなければ成長できない。教会成長が著しい国では、受洗して半年のセルリーダーや元犯罪者の牧師がゴロゴロいる。米国アッセンブリー南カリフォルニア教区では、教職者の6人に1人がティーンチャレンジ(TC)の卒業生だ。それだけドラッグが蔓延しているとも言えるが、それだけ〝元ヤク中〟でも神様に用いられる機会があるとも言える。「罪の増し加わるところに、恵みも満ちあふれました」(ローマ5章20節)

 TCでは、インターンになると日曜礼拝でメッセージもする。普通の教会はみことばを聞きたい人が集まるが、TCチャーチでは、基本的に聞きたくないと思っている生徒に語らなければならない。しかも共同生活だから、有言実行しているか常に見られているので、そのプレッシャーたるやはんぱではない。しかし、洗礼を受けて二年たたないアキト君は涼しい顔で毎月メッセージをしている。クリスチャンが成長するのに、この環境は良さそうだ。

5月18日(土)

 20日のティーンチャレンジ総会のために横浜に来たとたん、フミ君が辞めるという連絡が入った。狭い空間に生徒が6人ひしめき合い、朝六時に起きて聖書を読み、午前中は畑で働き、真夏日でもクーラーがない生活に限界がきたのだろう。しかし、センターは問題をり出すための坩堝(るつぼ)のようなものだから、ここが正念場だ。「岡山に戻るまで持ちこたえてくれ」と祈るしかない。

5月21日(火)

 岡山に戻る朝、スタッフから電話。ノブ君が帰るという。フミ君ではないのか、と耳を疑う。フミ君は「本気で帰ろうと思っていたが、人間以外の力によって引き止められた」と証言してとどまることになったという。まさに神体験だ。しかし、2月に同じような体験をしたはずのノブ君が去ってしまった。誰が去り、誰が残り、誰が成長するのか、人間にはわからない。
 「銀にはるつぼ、金には炉、人の心を試すのは主」(箴言17・3)
〈「百万人の福音」2019年8月号〉

ティーン・チャレンジ・インターナショナル・ジャパン
〒700-0976 岡山市北区辰巳28-119-301 TEL:086-244-6080
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