《連載》土と聖書で〝生き直し〟〔第5回〕

信仰生活

きさき・ともゆき
1971年生まれ。2005年、依存症者の更生と社会復帰を支援する一般社団法人「ティーンチャレンジ・ジャパン」を設立。2013年からは岡山に拠点を移し、引きこもりや依存症の若者を農業を通して社会復帰させるプログラムの構築に取り組む。

第5回 働き続け、用い続ける主に期待して

ティーンチャレンジ・ジャパン ディレクター 木崎智之

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2019年1月21日(月)

 収穫がない冬場は、農閑期と呼ばれる。畑が忙しくない間に、今までできなかったことをしよう。「西日本豪雨の洪水の一因は、川床に生えた木だ」(川床に土砂が滞留して中州のようになった部分に木々が生い茂り、水の流れを滞らせている。このような箇所が無数にあるという)との指摘があり、岡山県が伐採者を公募したので、ティーンチャレンジ(TC)も応募した。食料の備蓄は災害時のダメージを防ぐ「防災」だが、これは堤防が決壊する確率を減らす「減災」だ。「これはキリスト教界でも初めての試みだ!」と、おっかなびっくりチェーンソーを扱う生徒を励まして、河川敷に生い茂った樹木を切り倒す。

2月13日(水)

 ヨウ君が洗礼を受ける決心をした。信仰告白直後(入学して1か月の頃)にも勧めたが、その時は断られた。入学3か月めの面談で、スタッフのアキト君が洗礼の勧めに再び踏み込んで、ヨウ君も最初は抵抗していたのだが、それが自分の頑固さだと気づいてあっさり同意。他の生徒にも「春になったら受洗します」と自分から宣言していた。ハレルヤ!

 昨年TCを自主退学したケン君から手紙が来た。彼は農業プロジェクトを始めた年に入学したので、初めてエンドウ豆を一緒に収穫した忘れられない仲間だ。帰宅後しばらく落ち込んでいたが、今は元気に仕事をしているという。TCで学んだ暗唱聖句や賛美も口ずさんでいるらしい。「岡山でイエス様に変えられた経験は無駄ではなかった」と書いてあった。うれしい限りだ。

2月15日(金)

1月4日にTC岡山に来たノブ君が、自主退学した。在籍期間はちょうど40日。何か意味があるのだろうか? 昨年9月にマサ君が入学してから、初めての帰宅者だ。リハビリには連帯感が重要だから、逆に1人リタイアすると残りが動揺する。過去にTC沖縄センターでドミノ倒しのように全員帰宅したこともあったので、霊的状態を立て直さなければならない。新入生が来るのが特効薬だが、そんなにタイミングよく来るだろうか?

 すると数時間後に、緊急要請の電話が入った。リュウ君という男性で、どうしようもなくなっていて明日岡山に来たいという。事情を聞くと、なんと手紙をくれたケン君と同じ職場でTCの話を聞いたという。一気にテンションが上がる。たとえ中退した生徒でも、主は働き続けて用いてくださるのだ。とりなしの祈りをやめてはいけない。去る生徒がおり、来る生徒がいて、受洗を決心する者がいる。霊的働きに農閑期はない。

 「イエスは彼らに答えられた。『わたしの父は今に至るまで働いておられます。それでわたしも働いているのです。』」(ヨハネ5章17節)

〈「百万人の福音」2019年5月号〉

ティーン・チャレンジ・インターナショナル・ジャパン
〒700-0976 岡山市北区辰巳28-119-301 TEL:086-244-6080
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