きさき・ともゆき
1971年生まれ。2005年、依存症者の更生と社会復帰を支援する一般社団法人「ティーンチャレンジ・ジャパン」を設立。2013年からは岡山に拠点を移し、引きこもりや依存症の若者を農業を通して社会復帰させるプログラムの構築に取り組む。
第9回 依存症克服、農村活性化モデルの輸出を目指して
ティーンチャレンジ・ジャパン ディレクター 木崎智之
6月8日(土)
キャベツに菌核病が発生した。細菌が表面の傷から入り、内側から腐らせる病気だ。周りのキャベツに伝染するから、根こそぎ取り除いて畑の外に捨てないといけない。罪と似ている。
6月9日(日)
村興しのために地区の活性化委員会が昨年発案した「どろりんピック」に、今年も招かれた。田植え前の田んぼでバレーボールをする。地区のみんなは同じ村で育ったから自然にチームワークがあり、ふだんから肉体労働をしているので身体能力も高い。こちらも共同生活で農業もしているから弱いはずはないと思うが、年季が違うのか1セットも取れない。3、4試合めになってようやく連勝。綱引きでは優勝。フミ君はボール投げで3位になり、賞品のお米3キロをゲット。生徒もスタッフも泥まみれになって遊ぶのもいいもんだ。
6月11日(火)
15歳のキミ君がティーンチャレンジ(TC)岡山に来た。最年少記録更新。この年齢で重度ということはないが、そのままにしておくといつか依存症になってしまうのではないかと案じたクリスチャンのご両親が、決断して入学させた。クリスチャンが罪を犯すことが普通になってしまうと、本人の信仰を腐らすだけでなく、家族や教会にも悪影響を与えるから芽のうちに摘み取ることが大切だ。
6月17日(月)〜21日(金)
薬物が氾濫しているベトナムの依存症更生施設から要請され、3日間缶詰めで研修をした。日本よりベトナムのほうがクリスチャンは多いのだが、医療や福祉が整っていない場所でリハビリセンターを開設したものだから、依存症以外の問題を抱えた人まで大勢来てパンク状態になっているらしい。
「イエスの評判はシリア全域に広まった。それで人々は様々な病や痛みに苦しむ人、悪霊につかれた人、てんかんの人、中風の人など病人たちをみな、みもとに連れて来た。イエスは彼らを癒やされた」(マタイ4・24)
スタッフの経験不足はトレーニングで改善できるが、健康保険もないし、社会主義国家で宣教師が支援することもできないから、経済的にはかなり厳しいはず。やはり農業の出番か。
6月24日(月)
メインの畑のキャベツの収穫初日。1日で4トン近く出荷した。これまでの最高記録だ。都会の依存症の若者を救いに導いて依存症を克服させ、農業で運営費を捻出しつつ過疎化した農村を活性化させるこのモデルを、早く日本の地方や東南アジアで分かち合えるようになりたい。
〈「百万人の福音」2019年9月号〉
ティーン・チャレンジ・インターナショナル・ジャパン
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