《連載》土と聖書で〝生き直し〟〔第11回〕

信仰生活

きさき・ともゆき
1971年生まれ。2005年、依存症者の更生と社会復帰を支援する一般社団法人「ティーンチャレンジ・ジャパン」を設立。2013年からは岡山に拠点を移し、引きこもりや依存症の若者を農業を通して社会復帰させるプログラムの構築に取り組む。

第11回 仙台で受けた刺激と大きな目標

ティーンチャレンジ・ジャパン ディレクター 木崎智之

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8月2日(金)

 柚子胡椒の販売を開始したが、売り上げが伸びない。「フェイスブック(FB)で宣伝してみたら?」と妻が言う。農作物を生産(一次)し、加工(二次)して販売(三次)まですることを、「六次産業」と呼ぶ。唐辛子を作り、柚子の皮と混ぜ、ネットで売ることはまさにそれなのだが、2年前に同じことをやって反応ゼロだったので半信半疑。しかし、今度は瞬く間に50個売れた。やはり妻のアドバイスにはすなおに従うべきだ。(ご注文はティーンチャレンジ〔TC〕のFBページからどうぞ!)
  「しっかりした妻をだれが見つけられるだろう。…夫の心は彼女を信頼し、彼は収益に欠けることがない」(箴言31章10、11節)

8月9日(金)〜12日(月)

 夏キャベツの収穫中に種を植えた秋キャベツの苗2万株を、3日がかりで畑に植える。暑い。そして空っぽになったビニールハウスで、今度は白菜の苗を1万5000株育てる。みんな休む間もないほど忙しい。

8月30日(金)

 卒業を控えたマサ君の就活のため、一緒に仙台へ。そこでは昨年卒業したヒロ君が、1年間お酒を飲まずに働いている。現地で卒業生の橋本従道神学生と合流。彼は2015年にギャンブル依存で入学し、農業に興味をもってインターンとして農業プロジェクトを始めてくれた先駆者だ。卒業生の面倒見がよく、今回も福島に行った帰りにヒロ君に会いに仙台まで足を伸ばしてくれた。

9月1日(日)

 ヒロ君の職場、自然派ビュッフェレストラン「六丁目農園」でランチ。美味しいだけでなく、形が悪いからと捨てられる野菜をレスキューしたり、障がいのある人も雇用したりするポリシーが口コミで広がり、予約なしでは座れないほど繁盛している。
 食後に、レストランの渡部哲也社長がお時間を取ってくださった。社是は「生まれたすべての人が役割を自覚し、真の幸せを追求できる社会をめざす」 。小学校はミッション系だったそうだ。損得勘定で生きるのに飽き、40過ぎから障がい者も働けるようにとレストランをオープン。グループ企業内で80人雇用し、その半数が障がい者。ヒロ君は元アルコール依存症者であることを伝えて雇ってもらったが、今やチーフとして障がい者が働くのを支援する側になって活躍している。
 衝撃。感銘。TCがやりたいことを全部やっている。いや、それ以上だ。障がい者を雇用しながら社会貢献することがビジネスとしても成立するなら、元依存症者・受刑者でも可能なはずだ。また一つ大きな目標が増えた。

〈「百万人の福音」2019年11月号〉

ティーン・チャレンジ・インターナショナル・ジャパン
〒700-0976 岡山市北区辰巳28-119-301 TEL:086-244-6080
ティーンチャレンジと農業プログラムについてはコチラ

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