

聖書には神以外の物や人に頼って災難に遭った人々が登場します。霊として現れた預言者サムエルの前にひれ伏しているのは、イスラエル王国の最初の王であったサウルです。
サウルは美男子で、強く、背が高く、控えめできわめて有望な人物でした。しかし残念なことに、そんな彼も“絶大な権力”を得て高慢の罪に陥ってしまうのです。サウルは着実に神にそむき、悪い王へと変貌していきます。
神への背信の果てにサウルは絶体絶命の危機を迎え、藁をもすがる思いで霊媒師の女に己の行く末を占わせます。(Ⅰサムエル28章)
そして、かつて自分の頭に油を注いで王としたサムエルの口から、自らの運命を突きつけられるのです――サウルは地面に倒れておびえるばかりでした。翌日、その預言は実現し、サウルもその子どもたちも命を落としてしまうのでした。
サムエルの後ろには恐怖で後ずさりをする衛兵。暗闇の中には馬の頭の骨や、コウモリの翼をつけた頭蓋骨、不気味な表情のミミズクなど、魔術や悪魔を連想させるモチーフが描かれています。
神はオカルトや霊媒を厳しく禁じられます。サウルは国土から魔術の罪を一度は取り除きましたが、自分の心からは取り除くことがついにできませんでした。
サルヴァトール・ローザ(Salvator Rosa、1615年6月20日(あるいは7月21日)― 1673年3月15日)は、イタリア・ナポリ出身の画家、詩人。
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