《本当は怖い聖書》驕りが生んだ不倫を隠すため殺人を犯し、人生暗転

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驕りが生んだ不倫を隠すため
殺人を犯し、人生暗転

 古代イスラエル国の王の中で、人気があるのがダビデです。ミケランジェロの彫像でも知られています。少年の頃からイスラエルの神への熱い信仰を抱き、王になって以降、国の領土を広げた名君と評されました。
 しかし、大きな実績を残した権力者の心には驕りが生まれるのが常で、それが時に非道な事態を生みだすことがあります。

 ある日、ダビデが昼寝から目覚め、王宮から眼下の町を眺めると、麗しい女性が沐浴しているのが見えました。ダビデは、その女性が、戦場で戦っている最中の部下ウリヤの妻、バテシェバであることを知りながら、王宮に呼び出し、関係をもちました。その女性がその時、どんな思いだったかは記録されていませんが、封建制社会の王に命じられたことを拒むことはできなかったでしょう。

 その後、バテシェバは身ごもります。慌てたダビデは、戦場のウリヤを呼び戻し、自宅で休息を取るように命じます。つまり、妻とベッドを共にすることで、ウリヤに身に覚えのある妊娠にしようとしたのです。しかし、自分の部下たちが戦っている時に、自分だけが休むのを潔しとしないウリヤは、王宮の外で寝たのです。指揮官としても、なかなかの人物であることがうかがえます。

 作戦が失敗したダビデは、ウリヤの上司を呼び、ある策を伝えました。

「ウリヤを激戦の真正面に出し、彼を残してあなたがたは退き、彼が討たれて死ぬようにせよ」

 不義を隠すために、さらに大きな不義を行ってしまう、罪の泥沼状態です。
 この卑怯な策は成功し、夫の訃報を聞いたバテシェバは、「主人のために悼み悲しんだ」と記録されています。ダビデは、バテシェバを自分の家に迎え入れ、妻としました。

 「ダビデが行ったことは主(神)のみこころを損なった」と、聖書に書き記されています。
 この一件がなければ、ダビデは、名実ともに名君と謳われたことでしょう。預言者からこの事件を糾弾されたダビデは悔い改めをしましたが、後年、国内外の敵に追われ、家族内の争いが絶えず、安息とは程遠い日々を送ることになりました。

 げに恐ろしきは、人間の心に潜む闇なり――。
(参考資料:『聖書 新改訳2017』列王記Ⅰ 21章)

 

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