《この町この教会》国立のぞみ教会を訪ねて

証し・メッセージ

子育てがつながりに 広がり深まる地域との関係

カンバーランド長老キリスト教会 国立のぞみ教会
〒186-0002 東京都国立市東3-15-9 TEL.042-572-7616

 東京都国立市は、JR国立駅を起点に放射状に伸びた道路が整然とした中心街を形成している。戦後、付近の米軍基地を対象とした性風俗産業などが街の環境悪化を招き、それを憂えた市民や学生たちの運動が1952年、東京都初の「文教地区」(学校、図書館、博物館などの教育施設が多く集まる地域として、それらの施設周辺や通学路には建築用途制限が課され、パチンコ店や風俗店、ホテルなどの進出が規制される)指定につながった。今日の、多くの学校を擁した緑豊かで閑静な街並みは、当時の市民による努力の結実である。

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子どもの居場所 放課後の「たまり場」

 そんな国立市のとある住宅街。2019年11月某日の夕方、国立のぞみ教会に近隣の小学生が続々と集まってきた。「健太先生こんにちはー」「先生、卓球やろう」。迎えるのは唐澤健太牧師。同教会は毎週金曜、子どもたちの放課後の居場所「たまり場のぞみ」として、地域に会堂を開放しているのだ。
 卓球や携帯ゲーム機で遊んだり、塾や学校の宿題をしたり。唐澤牧師とおしゃべりする子もいる。「子どもたちにとって、親でも先生でもない〝斜め〟の大人の存在って大事で、いろんなことを話してくれますよ」と唐澤牧師。この日は午後3時から6時まで十数人の子どもが出入りし、くつろいだ雰囲気で時間を過ごした。

 「たまり場」の始まりは5年ほど前。「私の子どもが通っていた小学校では、学童保育は3年生までが対象でした。娘が4年生になる前、『学童の友達が放課後に行く場所がなくなる』と言っていたことなどがきっかけで、週1回でも子どもたちに教会を開放しようと決めました」と振り返る。口コミやチラシを通して集まる人数も増え、2年前からは市の「子どもの居場所づくり事業」の対象となった。そのため直接伝道はしないが、「街で顔見知りの子に『教会の人!』と声を掛けられたり。彼らにとって『たまり場』とは教会に行っている感覚なんだな、と思えてうれしかったですね。教会へ行って楽しかったという記憶が将来も残り続け、何かの時にふと思い出してくれれば、『たまり場』の使命としては十分」と話す。

思い思いに過ごす子どもたちと唐澤牧師

「たまり場」効果

 「たまり場」の子どもたちが日曜の教会につながることは、残念ながらほとんどないと唐澤牧師。しかし近年、別の層の子どもたちによって、教会学校がにぎわっているという。「私の子どもたちがキリスト教主義幼稚園でお世話になっていた頃、月に1度の『親子礼拝』やお母さんたちのための聖書の学びの会の担当を依頼され、今日まで続けています。そのつながりで、子どもたちだけでなく保護者の方たちまでが来てくれるようになりました」。教会のイベントを手伝ってくれたり、最近では、子どもの分級と並行して大人のための分級を開き、多いときで10人ほどが参加して聖書を学んだりしているという。「信仰をもつにはまだ段階が必要でしょうが、まずはつながりを大切に。機会がなければ教会に誘うことすら難しい時代ですから」

国立のぞみ教会15年めの唐澤健太牧師

まもなく牧会15年 見えてきた自身の〝かたち〟

 自身の子育てを通じて地域と関わりが深まり、「牧師と年齢が近い世代には比較的届きやすい」と唐澤牧師。近年の同教会の傾向も、赴任後15年を経て現れてきた自身の牧会の一つの〝かたち〟のように感じるという。「私自身が信仰をもつに至った経緯や、牧師としてあることがすべて神様の必然だったと、働きや家族との関わりなどから確認させられてきました。自分の足りなさに落ち込むこともしばしばですが、自分だけの思いでここにいるのではないと思う時、また励まされています」と話してくれた。

【「百万人の福音」2020年1月号より】

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