《この町この教会》グレイス・アジア・インターナショナル・チャーチを訪ねて

証し・メッセージ

《この町この教会》グレイス・アジア・インターナショナル・チャーチを訪ねて

困窮家庭の負の連鎖断ち切るイエスの愛

単立 グレイス・アジア・インターナショナル・チャーチ
〒904-2215 沖縄県うるま市みどり町1-6-2F
TEL.098-974-5699

 2005年、沖縄本島中部の2市2町が合併し、県内第3位の人口をもつ市が誕生した。「サンゴの島」を表すウチナーグチ(琉球ことば)から名づけられたこの「うるま市」は、太平洋に張り出す勝連半島と与勝諸島を有し、その名の通り、美しい海岸線が広がる風光明媚な街である。
 一方で同市では近年、貧困率の高まりが喫緊の課題となっており、困窮家庭の子どもたちへの学習支援、子ども食堂など、各所でのさまざまな取り組みが急がれている。

貧困は沖縄の長年の課題

 貧困は、そもそも沖縄全体を長年覆ってきた課題でもある。「琉球新報」の2016年1月5日の報道によると、沖縄県の貧困率(所得が国民の「平均値」の半分に満たない人の割合。経済協力開発機構(OECD)の指標に基づく「相対的貧困率」をいう。ちなみに貧困率の全国平均は18・3%(内閣府、2015年)は34・8%で、過去20年間、悪化の一途をたどっている(山形大学の戸室健作准教授による都道府県別貧困率調査より。1992年調査開始)。
 その背景には、米軍基地の存在による産業・観光事業の脆弱さ、本土の企業の介入が地元企業の成長を妨げたこと、労働者への低賃金など、さまざまな要因が連鎖的・複合的に存在しており、解決をより困難にしている。
 「沖縄の中でも、うるま市は特に貧困が顕著」と話すのは、グレイス・アジア・インターナショナル・チャーチ牧師の仲眞ナオミさん(冒頭写真)。同市は、完全失業率が7・5(国勢調査〔総務省、2015年〕に基づく「琉球新報」調査)%と県11市の中で最も高く、貧困に陥りやすいとされる母子家庭の出現率は7%(「第二次うるま市総合計画」〔2017年〕より。県内41市町村中第3位の高さ)、市民1人当たりの所得は県内41市町村中38位(「1人当たり市町村民所得」〔沖縄企画部統計課、2014年〕)と、深刻な状況が続く。そしてそれが、人々の家族関係にまで影響を与えているという。

近隣教会と協力して困窮家庭支援

 そんな中、仲眞さんは近隣の教会と協力して支援団体「HOPE LOVE」(HL)を立ち上げ、困窮家庭を数年にわたって支援してきた。対象は、生活保護を受給しておらず、支援を緊急に必要としている家庭。それぞれの事情に合わせ、市や米軍基地などから提供された食品、生活必需品などを届ける。「電気や水道を止められた、精神的余裕がないなど、調理が難しい家庭には調理済みの食事を。その後、経済的・精神的に安定してきた家庭には、食材の配布に変更するなど、段階に応じて支援を行っています」と仲眞さん。直接物資を手渡すことで、各家庭の状況がよく見え、信頼関係も築きやすいのだという。 
 支援開始当初は、困窮家庭の存在を人づてに聞いていたが、2年半ほど前からは、市の依頼を受けての支援も行うように。「生活保護を申請した家庭の、受給決定までの数か月を支援します。HLは教会の働きですが、NOと言われたことはありません。支援を通して教会に来るようになった親子もいます」。それは、地域からの信頼の証しでもある。

教会は、ビルの2階にテナントとして入る

〝荒れた〟若者との出会いが支援のきっかけに

 仲眞さんが家庭を支援する必要性を感じたのは、教会が平日行っていたカフェに、地域の〝荒れた〟中高生たちが来たことから。希望を失い、若くして酒やギャンブル、暴走、自傷行為などに陥っていた若者たちが、教会でイエスの愛を知り、変えられていく姿を見た。同時に、家庭環境の悪化が若者にもたらす影響を、嫌というほど知ったという。「両親の離婚などで傷ついた子どもたちが、依存対象を求めて恋愛に走り、若くして妊娠、結婚、出産するケースがあとを立ちません。そしてまた、同じことが世代的に繰り返されてしまう。愛情に対する歪んだ認識が断ち切られない限り、続いていく。彼らにこそ、変わらないイエスの愛が必要です」と仲眞さん。
 「生活レベルでイエスの愛を証しすることで、地域社会も必ず変わる。生活の中で働かれるキリストの姿を、私たちも見せていただきたい」と話す。

【「百万人の福音」2018年4月号より】

百万人の福音をもっと読む